イタチを追い出した直後の屋根裏や床下には糞尿に含まれるレプトスピラやサルモネラ、寄生ノミなどの病原体が残存しているため、再侵入防止工事と並行して徹底した清掃と消毒を行わなければ健康被害は終息しない。まず全作業者にN95相当の防塵マスク、密着型ゴーグル、耐薬品ニトリル手袋二重、防水つなぎを装着させ、作業区域外で着脱用ブルーシートを敷設して交差汚染を遮断する。換気のため屋外に面した小窓を可能な限り開放し、HEPAフィルター搭載の集塵機を排気口側に設置して作業空間を負圧化すると病原体エアロゾルの家庭内拡散を抑制できる。乾燥した糞を直接ほうきで掃くと粉塵が舞い上がるので、まず市販の酵素系バイオクリーナーを噴霧して十五分以上湿潤状態を保ち塊を軟化させ、次にヘラで掻き取りポリ袋に入れ、袋の外側を次亜塩素酸ナトリウム五百ppmで噴霧してから二重に結束する。付着面の一次洗浄は中性洗剤を希釈した温水で行い、硬質材はブラシ、断熱材や木毛板はウエスを押し当てて吸い上げる手法を取り、使用済みウエスは都度ポリ袋へ投入し袋ごと塩素処理する。洗浄後の二次消毒は塩素系とアルコール系を併用し、コンクリートや合板には次亜塩素酸ナトリウム千ppmを噴霧し十分浸潤させ十五分放置、金属配管や電線周りには腐食防止のためエタノール七〇%を用いると機材劣化を避けられる。断熱材がアンモニア臭を強く帯びている場合は部分撤去し、新規のグラスウールを敷設する前に防かび剤とホウ酸塗布を行うと再侵入時の営巣抑止効果が高まる。根太や梁に尿が染み込んでいるケースでは乾燥後に消臭封止用のシェラックニスやウレタン系シーラーを塗布し、蒸発残留物の将来的な臭気再放散を封じ込める。排水処理は塩素消毒液を中和剤で無害化し自治体の許可を得た上で下水へ排出し、固形廃棄物は産業廃棄物扱いとして感染性廃棄物収集業者へ引き渡す。作業終了時には使用工具と長靴を千ppm塩素溶液に五分以上浸漬し、 PPEは外側を噴霧消毒してから裏返しながら外し、最外層の手袋で全てを密封袋にまとめて破棄する。清掃後三日間は屋根裏に温湿度計とアンモニア検知紙を設置し、湿度六十%以下、アンモニア濃度零を確認できれば衛生リスクは実質ゼロに近づく。最後に再発防止として侵入口を厚さ〇・八ミリ以上のステンレスメッシュで塞ぎ、外周の通風口にも四ミリ角以下の金網を取り付け、赤外線センサー付き監視カメラで侵入動向を一か月間モニタリングすれば、イタチ駆除から衛生保全まで一貫したリスクマネジメントが完成する。